自動車マニアのケロヨン君!
私が3歳の頃、
まだ23歳だった母のひざの上で
木馬座の“かえるのぼうけん”を
まばたきするのも惜しいくらいの勢いで
くい入るように見ていた記憶は今も鮮明だ。
主人公はモダーンなカエルの“ケロヨン”
首には赤いスカーフ、赤い靴を履き、
見た目はかなり派手な洒落者である。
赤ん坊だった私を特に嬉々とさせたのは
大好きな動物たちだけで展開するその世界観だった。
可愛らしいガールフレンドのエルちゃん、
川岸に住んでいる利口なネズミくん、
おちゃめな年下のモグラのモグちゃん、
いつも頼りになる相談役のアナグマのおじさん、
そして敵役として「ギロギロ・バッチーン!」が決め台詞の
いかにも憎々しい片目のタヌキのギロバチ…等々。
とにかく個性的で魅力たっぷりの動物たちが
わんさと登場したのである。
物語の内容は破天荒なものが多かった。
飛んだり、跳ねたり、殴ったり、蹴ったり!
いつも元気いっぱい!
今なら「暴力的だ!」等とPTAが騒ぎ出すかもしれない。
ただそこには一切の悪意は無い、
これは自由な発想の中で
見る子供たちを純粋に楽しませる物語。
道徳教育は親と教師と
町のオッサンたちによる鉄拳制裁があったから
かっちりとしたバランスは取れていた。
「悪いものは悪い!」 ゴッチーン!
オシリ、スパパパパーン!
そしてもう一つ、わくわくする要素がこの物語にはあった。
実はケロヨンは自動車マニアであり
毎回のように真っ赤なスポーツカーに乗って登場するのだ。
その運転描写は痛快で、安全運転どこ吹く風よとばかりに
もうもうと排気ガスを噴出しながら縦横無尽に走り回るので
交通整理のおまわりさんが驚いてぶっ倒れるほどであった。
その時に流れるBGMは軽快な節回し、
♪ 自動車マニアのケロヨン君~ ♪
♪ 真っ赤なクルマで走り出す~ ♪
私は思った
「かっこいいなあ~!」
かくして生まれて三年目の私の白紙に近い脳に
大きく深く刻まれたのは
Ⅰ 素敵な“おとぎの国”
Ⅱ 楽しい“動物たち”
Ⅲ そして疾走する“赤いスポーツカー”
以上三点であった。
というわけで
現在の私がいる。
写真は小さなメタル製のピンバッジ。
台紙には原作者の藤城清治さんのサインがエンボスしてある。
いただきものであるが、これは大変にうれしかった。
私の宝物のひとつとなった。
だから愛車のミニチュアモデルに立てかけて写真を撮った。
それでは本日はこれにて。
バッハハ~イ!