秋ですね!
こんにちは!野村潤一郎です。
みなさま楽しい夏を過ごされましたか?
すてきな思い出をいっぱいつくられたことと思います。
私は例によってきつい手術の依頼が多く続き、
いばらの道を歩くような毎日でしたが
辛い谷底の後には嬉しい山があるものです。
というわけで今回も本業とは全く無関係の話題になります。
この写真は先月にチラ見せいたしました“新しい青龍號”こと
1968年型、初代マセラテイ・ギブリです。
仕事終了後の深夜にダメ出し試運転をした際、撮影いたしました。
結論としては今から45年前のスーパーカーですから
いろいろな意味で手ごわいですね。
あちこち乗り回して楽しむどころか、
ここあそこと連発する不都合の修理で悩んでいます。
でもなかなかいい雰囲気でしょ?
このマセラテイはギアに在籍していた頃の
ジョルジェット・ジュージアローのデザインで
ロングノーズにファストバックスタイルのロマンチックな造形は
眺めているだけで白いご飯がおいしくいただけるくらいの味わい深さです。
往年の銀幕女優の貫録ですね、つまり正統派の美女です。
しかもその優美なボンネットの中に拍動する
熱々の4930ccツインカムエンジンは
四基のウエーバーカーブレイターが深呼吸した瞬間、
落雷のような爆音をまき散らしながら碧い躯体を別次元にワープさせ、
現代のハイテクカーたちを地平線の彼方に置き去りにすることが可能なんです。
彼女は私の可愛がっているクルマたちの中では足が遅い方ですが
それでも最高速度は280キロなのです。
パワー!!
つい最近、とある番組でご一緒したテリー伊藤さんに
この青龍號に乗っていただきました。
炎天下の中、クーラーが故障中であるにも関わらず
「いいねぇ~」「かっこいいじゃない~」とほめてくださいました。
やはり筋金入りのクルマ好きには理解していただけた様子。
ガソリンとオイルの匂い、振動と排気音、
そしてエンジンルームから容赦なく侵入する熱、、
汗だくで重いクラッチを踏みギアを入れ、美しき鉄の塊を操る満足感。
紙コップのコーヒーよりもティーカップのコーヒーを好む
前時代的な世界に生きる男はもはや絶滅危惧種ですが、
こういった芳しき文化は心の栄養です。
ケータイやバーチャル全盛の無味無臭の今の時代に
筋肉痛になりながら運転したり、手を油まみれにして整備したり、
一見無駄と思えるそんな行為こそ
タフで優しい男を維持するための修業の一つであり、
私にとっての男の美学なのです。