野村潤一郎 オフィシャルブログ

ご開帳!



季節外れの大雪が降る午後、
急用で下町方面にスクランブル発進した。

こんな日に限って
水陸両用車のアンフィレンジャーは排気管の故障。
エロ&ダンディーな玄武号はミッションの整備中。
怒濤の青龍号は車幅が2メートルを超えるので不適。
すばしっこい朱雀号は雨漏り常習なので却下…。

…というわけで仕方なく
今回のパートナーは
凶暴な白虎号を選択するに至った。

こんなやっかいなクルマばかりを
日常のアシに使用している偏執狂は
世界中に私一人だけだろうう。

しかしポリシーは通さねばならない。
どんな時でも頑張るのがザ・オレの掟。

そもそも悪天候なんかにめげては
男がすたるというものだ。

それにしても
ただでさえ視界が悪いカウンタック、
横殴りの雪の猛攻に側方と後方の確認は
もはや絶望的であった。

しかもつま先に少し力を入れただけで
超馬力が極太のリアタイヤに伝わり
路面抵抗係数の低いシャーベットスノーの上を
車体が滑走し始め、唐突にスピンしようとする。

その度にカウンターステアで体勢を立て直すものの
これはいつ経験しても腹が痛くなるほどの緊張を伴う。

そうかと思うとコーナーでは
強烈なアンダーステアが出たりもする。

時速300キロで走るマシンが
こんな日はもうドタバタの有様であった。

誤解をしている方が多いので
真実を語ろう。

実を言うと真のスーパーカーというものは
安楽で従順なスーパー高級車などではない。

まかり間違ってフニャチン男や
出っ腹紳士なんかが乗っかっろうとしたら
殺す勢いでエルボーをお見舞いしてくる
腹筋の割れた女格闘家のような存在だ。

一心同体になるためには
強靱な肉体と野獣のような精神力
そして経験に基づいたテクニックが必須の
野蛮で危険な命がけのマシンなのである。

耐久性を無視した高馬力のエンジン、
人間工学を無視した走るためだけのパッケージング。
そこに存在する言葉は三つしかない。
忍耐と苦痛とスピード…である。

刹那的な性能だけを
極端に突出させた奇形的なメカニズムは
ガソリンとエアーだけでなく
人間の血を欲しているようにも見える。

それにしても白虎号よ…
雪の日のお前は
ちよっとキツすぎだぜ…。

★写真説明

超絶馬力と繊細な操作性で操縦が難しく
精神的にも猛烈に飼い主を追い込んでくる
怪物のようなクルマがスーパーカー。

そして機能的、材質的に
雨にとことん弱いのもスーパーカー。

よって過酷な走行の後は
素早い手入れと点検整備が不可欠となる。

真夜中の酷寒に耐えながら
清水で泥を落としつつ洗車して
水気を拭き取ったならば
全てのパネルを開け放って乾燥させるのが私流。

この手のクルマは壊れやすく錆びやすく
乗りっぱなしで放置すれば
即、土に還ろうとするのだ。

かっこよく走り去る光るスーパーマシンは
日々の地道な手入れがあってこそ…
というわけである。

それにしても今夜のメンテは寒かった!
キンタマ縮み上がって
ハナミズ出た…。