処女懐妊
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“チビトラ”は“トラ”の後継としてやってきたサルファモニターの子供です。
Vセンター地下一階の熱帯動物飼育温室で
暮らすようになってから二か月がたちました。
強めの人工太陽光線を浴び、
毎日冷凍ネズミを食べて、すくすく育っています。
体重は倍になりました。
大型種の食欲はやはりすさまじいですね。
そしてその成長スピードも非常に早いと思います。
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先代と同様にどうやらこの子も女の子のようです。
十七歳で旅立ったトラは体重は七キロ近くあり、
十歳をこえたあたりから数回にわたって卵を産みましたが
単独飼育でオスがいなかったことから
生命としては成立しない無精卵であると判断していました。
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しかし去年、この希少な種はなんと“単為生殖”をすることが判明しました。
国内において同志の愛好家がその卵を孵したのです。
大型野生成体の持ち込み腹での単独繁殖はよくあることですが
今回は幼体より育て、オスとの接触が一切無い個体だったため
これはもう完全に確定です。
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インドネシアの南海の未知の孤島、、、
採集者が秘密保持したまま消息を絶ったため、
それがどこだったのかは現在は不明とされていますが
そのようなおそらくは特殊で過酷な環境において孤立した場合、
種の存続のためには必然の生態なのかもしれません。
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すなわち、津波などの不都合な自然現象に遭遇したとしても
全滅しないですむ、これはシステムなのでしょう。
つまりメスが生き残りさえすれば単独で発育可能な卵を産むわけです。
そしてこの場合は孵る個体は全てオスになると言われています。
育った子供たちはやがて母親と交尾して
以降は通常の有性生殖の形態に復帰できるというわけですね。
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恐るべし命の摂理。
地球生命三十六億年の威力。
本当に存在する処女懐妊。
本当にすごい。
すごすぎるくらいにすごい!
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というわけでチビトラがオオトラに成長して
先代のトラのように卵をポロポロ産むようになったら
それをちゃんと孵卵器に入れることにします。
なんだかちょっと楽しみですね!